ABテストとは 今さら聞けないABテストの基礎中の基礎まとめ
2020年10月19日
ABテストとは、
WebマーケティングにおけるCRO(コンバージョン率を最適化)手法の一つであり、このコンバージョン率を最適化していく様々な工程の中の1つです

※CROとはConversion Rate Optimizationの略

このページでは、私たちアッション(現・SHIFT)が年間1000パターン以上のABテストを実施しているWebページの領域について解説していきます。
目次
 ・ABテストとは
 ・3種のABテスト
 ・WEB改善において本来マストなプロセス
 ・少ない費用で効率的にCVを獲得
 ・バケツの穴を塞ぎ機会損失を防ぐ
 ・リニューアルのリスクを回避する
 ・ファーストビュー領域
 ・メインビジュアル
 ・CTAボタン、ボタン周り
 ・見出し・ページタイトル
 ・離脱導線
 

ABテストとは?

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ABテストとは、WebマーケティングにおけるCRO(コンバージョン率を最適化)手法の一つであり、このコンバージョン率を最適化していく様々な工程の中の1つとも言えます。また現在表示されている(表示を予定している)情報=Aパターンと、その情報に変更を加えたもの=Bパターンを用意し、どちらのパターンをユーザーに表示するのが高いコンバージョン率を得られるかなどの検証方法として用いられています。ABテストが使われる場面としては、Webページ、広告バナー、広告文などが挙げられます。
※CROとはConversion Rate Optimizationの略

そして、オフライン環境でもABテストは行われており、例えば通販商品に同梱されるチラシもその例の一つです。このようにABテストは実は様々なシーンで使われています。

「CROのプロセスである。」という部分については後に言及致しますが、
 ここで「CROの手法」と説明している理由はA/Bテストの結果データからは本当に多くの示唆を得ることが出来るからです。  弊社自体もテスト結果データを元に様々な課題発見、施策設計、検証を行っています。
 これは様々な分析ツールのセグメントデータにおける比較とは違う示唆が得られることから本文の中に「CROの手法」と述べております。
 A(元ページ)とB(テストパターン)の2パターンのみではなく、C、D、E、、、と3パターン以上でテストすることもあります。
よくABテストで語られる事例が、2008年にオバマ大統領が選挙資金をWEBサイトで集める際に活用し200 億円の資金を集めた例が有名です。
オバマ大統領陣営はABテストを行い、資金寄付のCVRを40%も向上させました。
ABテストを実行しなければ140億円しか集まらなかった資金を、ABテストを行い効果の出たBパターンを採用した結果、60億円追加で資金を集めることが出来たという事例です。
ABテストについてもう一段階掘り下げて解説をすると、一般的にはABテストにも3種の方法があります。

よく使われている3種のABテスト

Webページで行うABテストと言っても種類は複数あり、テスト内容によって使い分けることが大切です。一般的なA/Bテストツールには下記3種の機能があります。

同一URLのABテスト

1つ目は、URLを変えずに見た目だけを変える手法です。これが一般的にABテストと言われるケースが多いです。技術的な補足を入れると、javascriptの技術を使いソースコードを書き換えることなく見た目を変えています。私たちが提供しているABテストツールVWOでもこの手法によるABテストが一番多く行われています。

ソースコードの書き換えが不要なためABテストの準備が容易であり、SEO対策への影響を気にされる方にも安心して頂けるのが重宝される理由の一つと言えるでしょう。

別ページへリダイレクトさせるABテスト

2つ目は、テスト対象ページに来訪したユーザーを別のURLにリダイレクトを掛けて飛ばす方法です。この手法は同一URLでのABテストとは異なり見た目だけでなく中身も別物を表示するので、2つのページを用意する必要があります(もちろんURLも別で用意が必要です)。

こちらを一般的にはスプリットurlテストと呼びます。
※同じくツール等で来訪したユーザーをA(元ページ)のurlに留まらせるか、B(テストパターンのページ)へリダイレクトするか5:5又は設定した配分にランダムに振り分けます。

Google Analyticsの機能(現在はGoogleオプティマイズへ移行)としてあったため、こちらの方が知っている方は多いかもしれません。

高度なABテストが可能な多変量テスト

1つ目のABテストと同じ仕組みで実施する多変量テスト(Multivaliate test)です。1つめのABテストとの違いは、同ページ内、又はページを跨いで様々な箇所のテストを同時に行えます。この手法のメリットは、同時に行うテスト内容の組み合わせの中で、どれが最適であるか見つけることができる点です。

ABテストの必要性

なぜABテストを行う必要があるのか?その重要性について解説します。

なぜABテストを行う必要があるのか -WEB改善において本来マストなプロセス-

現在のWEB改善プロセスの多くは
データ等からの課題抽出→課題解決の仮説設計→仮説を元に施策設計→施策の本番サイト反映→過去数値との比較で施策評価」
という状況です。
上記のプロセスには2つの大きな問題があります。

1つ目は
上記の「施策設計」は最大仮説に留まっており、本番反映という行為自体はビジネス的な機会損失、時に大きなリスク要因になり兼ねません。

そして、2つ目は
「過去数値との比較での施策評価」です。

CVRは施策のみならず多くの内的・外的要因の影響を受けます。
内的なものの例であれば、広告費の投下量の大小によりユーザーの質自体が大きく変わります。
また、予算拡大に伴い広告の面を増加すれば更にユーザー属性は大きく変わります。

更に、キャンペーン内容が過去と違う等も内的要因として変わります。
外的要因の例で言えば、季節指数における変化、トレンドによる需要の波(ユーザー心理の変化)、競合の動向(商品戦略、マーケティング戦略と多面において影響)等、非常に多くの要因で変化が生じます。

更に具体的な例として、
旅行系のサイトにおいて、2月にAパターン、3月にBパターンを走らせ3月の方が予約数が多かった場合、それはBパターンの効果が高かったからなのか、単にゴールデンウィークに近い3月に予約決定が集中しただけなのかは、判断が付きません。
この変化が多くある中で過去比較による施策評価はビジネス的なリスクを生んでしまう可能性が大きいです。

またABテストを活用したサイト改善では
サイトの現状を把握し、どこをどう直せば商品やサービスの価値をユーザに正しく伝えられるかが重要です。ABテストで施策の仮説検証を行うのはよいのですが、「勝った」「負けた」のみではなく、「なぜ勝った? 」から次のグロースさせるネクストアクション施策を実施してさらなる成果へつなげていけるかが重要となります。「なぜ負けた?」から、その要因を分析し仮説の見直しを行い、次のフォロー施策を実施して改善していく。Web解析から課題発見、仮説設計、ABテストでの仮設検証、サイト改修までPDCAをしっかり回していくことが求められます。
 

なぜABテストを行う必要があるのか -少ない費用で効率的にCVを獲得-

CRO(ABテスト)は広告と違い、お金をかけずにCV数を継続的に増やしやすい手法です。
 
広告の場合は出稿量を増やすほど流入するユーザーが増えCV数が増加しますが、大きく出稿量を増やそうと思えばその分費用がかかるうえ、出稿量を増やすほど関心の低いユーザーも流入してくるために、CVRは低下し、CPA、ROASも悪化していきます。また、短期的な成果であり、広告予算を抑えればそれで止まってしまいます。
(広告出稿のみの運用を行った場合についての見解です。)
 
ABテストの場合はページ内に変更を加えCVRを上昇させるため、広告の出稿量増加に比べ費用をかけずに効率よくCV数を増加させることができるため、高いROIが期待できます。
 実際に広告費の数%の予算をアロケーションして、CRO(ABテスト)に取り組むことで、CPAを下げ、CROに取り組んでいない時よりも多くの成果を獲得する事例が多数あります。
※もちろん、SEO、SEM等でサイトへの一定の流入を確保することは前提として非常に重要なステップです。

また、さらに少ない費用で効率的にCVを獲得したい場合は、ABテスト自体の費用を抑える方法があります。それはGoogleオプティマイズを活用する方法です。一旦、GoogleオプティマイズでABテストの環境を構築できれば、自社のツールとして無料で使用できます。ノーコードでの簡単ページ更新やパーソナライズなど、いろいろできるツールでもあるので、CROでは有用なツールとも言えます。

なぜABテストを行う必要があるのか -バケツの穴を塞ぎ機会損失を防ぐ

どんなに広告の出稿量を増やしクリックが増加しても、受け皿となるサイト・ページ(バケツ)が穴だらけであればユーザーは穴から流れ落ちるだけです。
増加したトラフィックをしっかりとCVに転換するために、バケツの穴を塞ぎましょう。
 
しかも、
水道の蛇口は開きっぱなしにしておくことはできませんが、一度塞いだバケツの穴はすぐにはまた開かないので、その効果は一定期間継続的に発揮されます。

なぜABテストを行う必要があるのか -リニューアルのリスクを回避する-

新しいUI設計や新しいコンテンツをテストをせずに全体反映(リニューアル)してしまうことは、影響がユーザーの100%に及ぶ可能性があります。
 
CVRが上昇する内容であれば良いですがCVRが低下する内容だった場合、その影響がユーザーの100%に及ぶことは大きな損害を生むリスクを孕みます。
 
ABテストでマイナーチェンジ(規模の小さい効果検証)を繰り返し勝ちパターンだけを本番反映することで、このリスクを半分以下に減らすことができます。

ここまでABテストを行う重要性をお伝えしてきました。
では、ABテストで効果を出すために、具体的にどんなABテストが出来るのでしょうか。

例えばどの様なABテストが出来るのか

数多く存在する中の一部ではありますが、ページ内の以下のような箇所は、テストを行うとインパクトが大きくなりやすいと言われます。
 
1.ファーストビュー領域
2.メインビジュアル
3.CTAボタン、ボタン周り
4.見出し・ページタイトル
5.離脱導線

1.ファーストビュー

ABテストを行う際はまず、ファーストビューからテストしましょう。
ファーストビューは100%のユーザーが見る箇所であるため、インパクトが大きくなりやすいです。

ファーストビューはページの顔となるため、ファーストビューで与える印象によってその後のユーザーの行動(直帰するか、情報の掘り下げをするか)に非常に大きな影響を与えます。
ページに訪れるユーザー像を予測し、そのユーザーが求める情報は何か、
また、どこまでをファーストビューに収めるべきか、何を訴求すべきかを考えましょう。

昨今、SPで来訪するユーザーは非常に多くのシェアを占めていると思います。
弊社が見ていく中でSPユーザーは驚くほどに情報の収集が受け身です。

受け身とはどういうことかというと、
ページ内に隠れている部分はわざわざ開いて見ない、時にスクロールするか、しないかも最初のページで見えている箇所だけで軽く判断して行動する傾向にあります。

信頼を醸成すべきなのか?自社サービスをサマリーで伝えるべきか?USPを具体的に表示すべきか?又は、情報の深掘り欲求を煽るように出しすぎない方が良いのか?検証することは非常に多くあります。

2.メインビジュアル

ファーストビューの一要素であることがほとんどですが、ユーザーのファーストインプレッションの大半を構成するのがメインビジュアルです。

どのようなコピーを用いるのか、どのような色を用いるのか、共感を誘うのか希望を見せるのか、実績数値を入れるのか写真を用いるのか、様々テストしてみる価値がある箇所になります。

3.CTAボタン

CTAとは「Call To Action(=行動喚起)」の略で、ユーザーに取ってもらいたい行動を示します。
購入や申し込みなど、ユーザーに取ってもらいたい行動に移ってもらうボタンの事です。
CTAボタンはCVするうえで必ず押す必要のある箇所であるため、基本的にユーザーが発見しやすいようにすることが望ましいとされます。

色やサイズ、位置ももちろんですが、行動しようと思わせるコピーであったり、数、ボタン感があることも重要です。
ボタン内だけでは情報量が限られるため、ボタンの周りにどの様な情報を付加するか等も重要です。
アテンションのためにボタン自体に動きを加えたり(例:浮かび上がらせる)、画面内に追従表示しておくことも一般的になっています。

ボタン内のテキストはその先のページを示唆する内容であったり、ユーザー目線での動詞であったりと記載するテキスト情報も非常に多く考えられます。

4.見出し・ページタイトル

見出し・ページタイトルも多くのユーザーが注目する箇所です。
多くのユーザーはタイトルを見て、その情報が自分にとって必要かどうかを判断します。
わかりやすく簡潔に、ユーザーの興味関心を掻き立てる文言を用いるのが良いでしょう。

実際、ユーザーがサイト訪問している際のレコーディングデータを見ると驚くほど速いスピードでスクロールしているケースがあります。
タイトルのみを見て最下部あたりまでスクロールし、自分が見たいコンテンツ領域を見つけ、その後戻ってきてそこの箇所から読み始める等の動きがあります。
 

5.離脱導線

外部リンクなどの離脱導線(1本のLPの場合、本サイトへの導線等も含む)は、本来ユーザーを向かわせたい方向から逸らしてしまう原因となります。
ページ内に存在するそのリンクは果たしてそのページ上で必要なのかを考え、そのうえで余分なものは非表示にする、表示すべきものであるならモーダル等ページ遷移しない表示方法にすることが改善に繋がる可能性があります。

実際にECサイトの商品ページやカートページにおいて、レコメンドエリアを非表示にしたことでCVRや単価が上昇した事例等も見受けられます。
 

まとめ

数ある中から抜粋して、テストを行うとインパクトが大きくなりやすいと言われるポイントを列挙しました。

しかしこれらのポイントに注力しページを変更したからと言って、必ずしもCVRが上昇するとは限りません。
サービス、サイトによってユーザーが求めるコンテンツは異なるため、100%CVRが上昇する施策というものは存在しないためです。
同じ施策が、あるサイトではCVRが上昇したものの、別のサイトではCVRが上昇しなかったという事例は往々にして発生します。

だからこそABテストを行い、施策の効果を正しく検証・評価・分析し改善していくことが非常に重要です。
感覚に基づいた変更は、サイトに大きな機会損失をもたらす可能性があります。
正しいファクトに基づいたサイト改善を推進していきましょう。
 
お客様のCROのどんなお悩みでも我々アッション(現・SHIFT)はいつでもお力添えさせていただきますので、小さなお悩みだったとしても、お気軽にご相談ください。

 

 

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